成功したら大きなビジネスにつながる社内ベンチャー!
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 社内ベンチャー成功ノウハウマガジン vol 1.2 2002/4/4
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創刊号からかなり日が過ぎてしまいました。
 前回の内容について思い出したい方は、
http://www.adgnet.or.jp/~kagami/mag2.htm
 を参照頂ければ幸いです。
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1.2 利益を狙う場合

社内ベンチャーまたは子会社の新規事業で利益追求という目的で開始する
 場合の「利益」という定義は各種考えられます。

その定義された「利益」に対して、事業の進捗がチェックされるので、事業
 開始前の社内オーソライズ時点での「利益」という概念を、チェック可能な
 概念で数値化にしておくことが必要です。

■利益の絶対額を目的とする場合

一般的には、絶対額を目標にするのですが、意外とこれが後になって問題
 になることが多いともいえます。

利益の絶対額で、新規事業が会社に貢献するという場合には、新規事業が
 軌道に乗った場合に、会社全体の利益に貢献するだけの金額水準でなけ
 ればならないともいえます。

軌道に乗った場合でも、全社の利益の1%程度という程度の比率であれば
 途中で、当初計画になかった追加投資などを検討する時に、どうしても
 後回しにされることが考えられます。

本業に投資した方が、より高い投資採算が見込めることなどから、全社
 展開上の優先度合いが低くなりがちです。

特に、新規事業で、利益の絶対額が見込めることは、まれであり、通常は
 特徴をもった技術・サービスは、しぼりこんだ狭い市場をねらい、その範囲
 でトップになることで、「利益率」を確保するということが多いので、「額」を
 追求できる新規事業ということでは難しさがあります。

■子会社にして、上場利益で貢献する目的の場合

この場合は、利益の絶対額よりは、上場して子会社の株式時価が、通常
 1株利益の数倍になることから、時価会計の導入ともあわせると達成
 可能性は多いといえます。

ただ、この場合でも、親会社の利益水準に対して、株式時価総額でどの
 程度のウェイトになるかが問われます。

例えば、1000億円の利益を上げている会社の株式時価総額が1兆円
 とした場合、子会社への親会社出資額が10億円で、上場して50億円
 の株式時価となった場合には、上場時点では、40億円の親会社利益
 が見込めることになります。

この程度のウェイトでどうかという議論になりますが、小さい投資で、例えば
 1億円の投資で、株式時価で10億円という場合には、どうでしょうか。

はじめにどの程度の時価総額になるかの想定が難しいことや、実際に
 その通り達成できなかった場合、上場時期がずれるという場合など、
 経営判断が難しいという問題があります。

また、この場合の親会社への利益貢献は、上場時点で達成されますが、
 その後も利益貢献をする場合には、株価が継続して上昇する必要が
 あります。

逆に、上場した後、株価が下がった場合は、親会社の時価会計では、
 その後の期で、損失が出るということになります。

■既存事業の経費を軽減する目的の場合

直接新規事業で利益貢献するのでなく、既存事業の経費削減を通して
 利益貢献するような目的の場合は、ベンチャー事業自体の利益という
 より、既存事業の経費削減効果(ベンチャー事業の赤字が大きくなって
 その効果を削ぐことは避けなければなりませんが)の目的が達成され
 れば良いことになります。

例えば、クレジットカード会社などが、インターネットで明細を送らない
 ようにする展開(ネットクレジット事業)で、1通送る経費200円を削減
 するというような場合、10万人分で、2000万円の経費が削減されます。

また、最近はやりですが、総務部門やシステム部門を分社化し、他社
 の業務受託をすることによって、余剰人員の受け皿になるとかいう
 ケースが考えられます。

同様に、工場の遊休設備を活用する事業など、既存事業の構造改革に
伴う受け皿としても機能することが考えられます。

ただ、これをはじめから計画して、社内アナウンスすることは、マイナス面
 も伴うので、計画をオブラートに包んだりする方法論が必要なことや、
 経営陣が変わったり、既存事業の環境変化もあって、当初の目的が変
 わってしまって、目的を修正せざるを得ないという危険性もあります。

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次号掲載予定。
1.3 既存事業とのシナジー効果を狙う場合

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発行 かがみ事務所 代表 鏡味 義房

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