成功したら大きなビジネスにつながる社内ベンチャー!
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社内ベンチャー成功ノウハウマガジン
vol 2 2002/6/4
「意思決定は、企業トップのリスクでする」
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なぜ、社内ベンチャー事業の意思決定は、企業トップがしな
ければならないのでしょうか。
社内ベンチャー事業というと最新のIT技術とか、マイクロ技
術とか、既存企業のトップでは経営判断できないことが多いと
思います。
それで、権限の委譲をして分かる人に様々な局面での意思決
定を任せたら良いと考えがちです。
その場合、本当にその技術面まで分かった人に、ベンチャー
の全ての経営判断を任せて良いのでしょうか。
社内ベンチャーでこのような考え方で、権限の委譲をしてい
るという経営者が多いし、これが社内ベンチャー成功の要因と
言われることが多いのですが、私の見るところでは、このやり
方で成功している例は知りません。
既存事業の経営トップは、技術やマーケティング面を熟知し
ているのでしょうか。技術は技術の専門家、マーケティングは
マーケの専門家がというように、必ずしも経営判断する経営者
が全てに精通している必要はないのです。
ポイントとなる要素については、専門家に聞くなりというこ
とはしますが、経営判断は、あくまで経営者の資質だからです。
社内ベンチャーの運営責任者が、経営者としての資質がある
かという問題の方が大きいといえます。
社内ベンチャーの運営責任者に、その事業を提案した人をあ
てるという場合も、熱意はその方があって、いかにもベンチャー
らしい形になりますが、経営資質は別です。
問題は、経営資質と思われているが、実は、既存事業の経験
と成功体験だけという経営者が多いことにあります。
逆に考えると、このような経営資質に問題のある経営者の会
社では、社内ベンチャーは成功しにくいともいえます。既存事
業の範囲内での新しい展開にとどめておくことが賢明といえま
す。
(1)経営者としての判断要素が必要なこと。
社内ベンチャーは、既存事業とは異なり、新しい事業領域・
業界への進出ということになります。
この場合、既存事業で成功をしてきた取締役クラスの人が、
全く新規の事業分野において、既存事業を離れて、該当業界の
経営環境・競合状況や、技術動向に対して的確な判断ができる
でしょうか。
恐らく、既存事業と較べて、情報や、判断できる分析資料も
少ない状況での判断が求められます。
既存事業と較べて、規模こそ小さいのですが、経営判断は、
ある程度軌道にのった事業と較べて、少ない情報での、早めの
判断が求められるということになります。
分析資料や、マーケティング資料に基づいた判断ができる状
況にはない段階での判断は、後になって正しい経営判断だった
か分からない領域とも言えます。
勿論、経営トップだからこのような、不確定要素の多い判断
が正確にできるというものでもありませんが、経営トップでも
できない判断を、トップでない人がする場合は、得てして安全
な道程を選びがちになります。
この場合の「安全」は事業にとってでなく、個人にとってと
いう意味合いが強くなる場合すら考えられます。
新規事業分野では、判断された施策に対して、結果は失敗と
いったことが多くなると想定されますが、施策を実施しなけれ
ば、失敗はないという考えでは、失敗はないかわりに事業が成
功することは望めません。
(2)全社的な考え方が必要なこと
社内で新規事業をどう位置付けるかということを本メルマガ
1号〜3号で書いてきましたが、いずれの場合でも全社の中で
のベンチャー事業の位置付けが重要になります。
これは、組織の位置付けとも関連するのですが、一部門の発
想や、一部門での位置付けでは誤った判断基準となる危険性が
あるということになります。
もっとも、経営トップが全社的発想ができず、部門代表のよ
うになってしまったような、派閥的または、官僚的な会社でし
たら、社内ベンチャーは始めない方が良いとも言えますが。
全社的位置付けが理解できないと、どうしても、その事業の
利益や、売上見込みがどうなのかといった、既存事業的判断基
準になってしまいがちです。
既に会社に利益や、売上で寄与している既存事業と同じ判断
基準が、ベンチャー事業に適用されれば、その事業の帰結は明
らかでしょう。
全社的に見て、ベンチャー精神がなく管理的な短期利益追求
を狙った場合には、増益・売上増等で、その方向が是認され、
新しい事業や、新しい展開を提案する土壌がなくなってしまう
恐れがあります。
(3)集団の合意で運営しにくいこと
新規分野に進出する場合に、集団合意が得られるということ
は、大部分の人が、分かるということになります。
このことは、とりもなおさず、ライバル企業も同じ状況判断
ができるということになります。
トップを走る、特徴のある新規事業をどう構築してゆくかと
いう場合の個々の判断が、世間の大多数の人に理解されるとい
う事業であれば、恐らく世間的に見た場合は、遅れた事業とい
う可能性すらあります。
その業界に詳しくない人が、多数決で決めてゆくやり方は、
ベンチャー事業向きではないということになります。
ひどい場合は、他社の成功事例がないという理由で否定され
るといったことすら起こります。
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