ネットバンキングの現状 2002.3.27(2003.3.19内容見直し、追加)
1.ネットバンキングの分類
ここでいうネットバンキングは、インターネット(携帯WEB含む)を利用してATMや店頭に行かず各種銀行サービスが利用できることを指します。
したがって、インターネット以外の電話回線、専用線による銀行サービス利用は含みません。(ファームバンキング、アンサーなど)
| 運営会社 |
口座窓口 |
具体例 |
法人口座の利用 |
| 既存銀行 |
通常支店扱い |
都銀はじめ各行 |
(○UFJ、SMBCは2003.4から) |
| 郵貯 |
× |
| インターネット支店 |
みずほ銀行エムタウン支店 |
× |
| 駿河銀行ソフトバンク支店 |
× |
| 新設銀行 |
ジャパンネット銀行 |
2000.9銀行免許取得 |
○ |
| ソニー銀行 |
2001.4銀行免許取得 |
× |
| IYバンク |
2001.4銀行免許取得 |
× |
| ebank |
2001.7銀行免許取得 |
△ |
(2003.3.19追加)
法人向けにインターネットバンキングのサービスを提供することは、今のネットバンク機能でそのまま実現可能なはずだが、何故か実施されていなかった。
ようやく、UFJ,SMBCが2003.4月からサービスを開始することになったが、毎月数万円の利用料を取るとのこと、大手企業はファームバンキングなど導入できるので良いだろうが、中小企業には通常のインターネットバンキングを月数万円といわず提供すべきではないか。
その上で、一括送金サービスなどを別料金で提供すれば良いだろう。
それでもなお、小規模で、銀行店舗に行かないで済ませたい自営業者などへの開放は進んでいない。
銀行店舗統廃合に伴い、ATM増設を迫られている銀行は、コンビニATM等でなんとかATM利用増加に対応しているが、ネットバンクを積極的に法人にも開放すれば、ATM利用が減り、銀行コストの低減につながると思うが、どうなのだろうか。
| 利用方式 |
主な銀行 |
特徴 |
| 暗証番号(設定し直すまで同一暗証番号) |
CitiBank,ebank、ソニー銀行、IYバンク、郵貯 |
口座番号と暗証番号だけなので、はじめの手続きが容易(シティー以外は少し複雑、シティーはマイクロソフトパスポートで、ID,pwも入力しない方式に) |
| 暗証番号(事前に配布するカードに記載された表から、利用の都度指定する部分を入力するワンタイムパスワード方式) |
殆どの都銀、JNB |
カードを持っていないと入力できない。安全性が高い。はじめの手続きはすごく簡単。 |
3.ネットバンキングのEC事業提携概要
(1)既存銀行
- EC事業者の決済は、系列のクレジットカード会社が運営している。
- UFJ銀行決済でのショッピングはJCB,SMBCは三井住友カードといった系列のクレジットカード会社が加盟店としてEC事業者の決済をしているので、既存大手ショップが主体。
- また、ディジタルコンテンツや、オークション決済といった新しいEC取引決済はできないことが多いが一部銀行では先進的なEC事業提携も実現している。
例)UFJ銀行のネットエスクローサービス
- 取引の決済は、通常の銀行取引時間中に限定されるので、24時間年中無休ではない。
(2)新設銀行
- 決済については既存のしがらみがないので、新しいEC事業者提携が実現してきている。
- 新設銀行でも、ソニー銀行、IY銀行は銀行業務のネット化なので、EC事業者向け決済は提供していない。
- 24時間、年中無休で決済・資金移動ができる点が既存銀行より便利。
- 例
- JNB:通常のECショッピング決済、YAHOOオークション決済、ネット証券の資金移動、i-mode決済など利便性でも先行している。
- EBANK:通常のECショッピング決済、YAHOOオークション決済、ピアのチケット決済、インターネットのポイントのEBANK口座への入金など
4.ネットバンキングの課題・期待
(1)既存銀行
- 既存の銀行ホストシステムにインターネット機能を付加した形なので、基本的には、従来の銀行サービスをインターネットでも提供するというスキームになっている。
- インターネットを利用する利便性を発揮するためには、従来の銀行営業時間などの枠にとらわれない仕組みの提供など、利用者・EC事業者にとって必要なサービス提供には課題が多い。
- ただ、新設銀行と異なり、ネットバンキングだけで黒字にしなければならない期限はないので、長期的なサービス開発ができる可能性はあるが、銀行の収益環境にも影響される点では、独自なネットバンキングサービス展開には、ハードルは高いかもしれません。
(2)新設銀行
- 最大の制約条件は、銀行免許取得後、3年目で単年度黒字、5年目で累積黒字という点であろう。
インターネットに特化したシステムなどで、投資を抑えても、口座獲得のマーケティング費用や、銀行間ネットワークを始めとした、従来の銀行業務ベースの金融監督庁の業務・システム両面での監査対応など、大きなハードルと言える。
- ただ、既存の不良債権や、大きな既存ホストシステムといった、重い要素がないので、従来の枠にとらわれないで(銀行から上層部が来ると?)ネットバンキングの利便性追求が実現すれば、マーケティング費用も削減され、利用率・口座数、口座残高といった伸びも見込めるので、米国をはじめとした海外銀行で行われている銀行サービスのインターネット化といった範疇を超えた、国際競争力を持ったネットバンクになることが期待される。
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