消費者ローンにおけるネット即時払いの活用
1.活用の背景
- 消費者ローンについては、消費者金融各社の新規顧客の頭打ちから、一人あたり貸付単価(残高金額)を上げてきて、残高伸長をしてきているのが、最近の状況である。
- 今までは、既存顧客の歩留まり(例えば、200万人の残高ありの有効顧客が1年間に8割の歩留まりとすると、40万人の新規顧客を獲得して顧客数は横ばい)が率として一定としても、顧客数が大きくなれば、目減りする顧客数をカバーするための新規顧客数は増加しなければならない。
- それに対して、新規顧客を同じ販売促進策で、同じ1人当たり獲得費用とすると、新規顧客獲得にかける販売促進費は比例して増加しなければならない。
しかし、異業種参入等で、販売促進策の効率は低下してきている。
- 一方、企業の破綻・人員整理を含む失業率の高まりなどで、破産も増えている状況にあるので、これ以上の貸出単価アップはしにくい状況にある。
- 今まで、消費者金融専業の武富士、アコムなど大手が伸びてきたのは、いろいろな点はあるが、主に、
●不良債権を低く抑えるための、貸付時の与信ノウハウ。
●いつでも、 残高全額までいくらでも自由に返済できるATM網と、日歩で利息を計算するなど自由返済のシステムノウハウ。
の2要素ではなかろうか。
- この、自由返済という面では、ネットの即時払いが専業にとって有力な武器になると共に、専業以外の新規参入を容易にするという両刃の剣ともなる。
- また、自由返済の利便性の提供は、延滞を初期段階で防ぐことで、債権内容の悪化を防ぐことにもつながる。
2.ネット即時払いの提供方式
- これは、いたって簡単で、消費者ローンの返済窓口をWEB上に設けるだけで、指定した返済金額を、ネットデビットまたは、ネット振込みで、即時銀行口座から振替えることで、ATM網もなしに全国展開が可能となる。
あたかも、ネット上の商店で、購入する商品が、商品の金額のかわりに、指定した返済金額になっているという形で構築できるので、通常のWEBショップ構築・決済導入と同程度の容易さで提供できるサービスといえる。
- パソコンだけでなく携帯対応もできるリンク振込みを利用すれば、いつでも、どこでも、いくらでも返済ができることを意味する。
- 貸出は、自前のATMでなくとも、提携CD機または、口座振込みでも良いので、自社でATM網を持たない、中小消費者金融会社や、信販・クレジットカード会社だけでなく、通販会社や、会員を抱える企業が、消費者ローンに進出するのに、大手の壁として存在したATM網や店舗網は必要ない。
- 逆に、店舗やATM網の投資負担のない形では、銀行ATMを利用したオリックスクレジットのVIPローンのような形が今までも成功してきたが、更に、ネットの即時払いを導入することで、携帯の利用など利便性は更に拡大するだろう。
3.新客数への寄与
- どうしても、新規顧客を直接マーケティングで増やすことに目が行きがちだが、直接のマーケティング費用を掛けて、新規顧客を増やすことは、大手消費者金融会社決算の広告宣伝費(直接のマーケティング費用だけではないが)を、新規顧客1人当たりに換算すると、1万円以上と想定され、コスト効率からも限界に近づいている。
- 返済の利便性を打出し、店舗(無人契約ブース含む)に来ないでも契約が可能な方式を構築することによって、限界に近づいている既存の来店パターンにない顧客の範囲で、新たな潜在顧客にアプローチする分野も必要ではないだろうか。
- なお、貸付も本人確認のできている銀行口座振込みにできれば(某監督官庁が反対するかもしれませんが)本人確認書類についても不要にできる可能性がある。
4.プロミスが、ネット振込による即時返済を開始(2004.2.17から)
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