銀行再編でノンバンクはどうなる(2004.8.16,一部2004.8.18、8.26、9.3追加)

 銀行の再編成が急ピッチで進められている中で、ノンバンクの再編成や売却のニュースも、紙面に載ることが多くなっている。

 みずほ銀行やSMBCは既にキャッシュカード一体型のクレジットカードの発行を発表しているが、米国型のクレジットカードは、エンターテイメント系などで、アメックス、ダイナースクラブなどのカード発行はあるものの、殆どの「発行主体」は銀行となっており、銀行系クレジットカード会社や信販会社は、どのように変化対応してゆくのだろうか。

 既に、日本信販はUFJカードに統合(UFJカードはどことどうする?)、UCカードはクレディーセゾンと提携から統合に、アプラスは新生銀行またはHSBC(英国)のどちらかに売却と言ったクレジットカードや信販の話だけではなく、キャッシングというカードの主な収益源としては、消費者金融会社と金利帯も重複することから、消費者金融会社も含めた、ノンバンクの銀行系列化ないしは、銀行系列を離れたUCカードとクレディーセゾンのような動きを見て、今後どのように動くかを個人的に推測する。


1.クレジットカードの発行は、銀行が主体になる

 

 米国のように、元々、銀行カードとしてのクレジットカードは、商品の購入に便利な決済機能を利用して、通常の商品・サービスだけではなく、銀行が狙っている、各種金融商品の販売において威力を発揮するだろう。

 何故、銀行カードとの一体化が有利かというと、クレジット機能(後払い)だけではなく、デビット機能なり、即時預金からの振替えといった、銀行の決済機能は金融商品の購入には便利な決済機能だからである。

 銀行の預金から、債券や証券といった資産間の移動になるので、銀行の狙っている、個人のメインバンクとしての資産管理の一環として必要な機能となる。

(追記2004.8.18)
  横浜、四国、十八、筑邦の地方銀行四行は、地銀のバンクカード一体型クレジットカードで、毎月一定額を支払うリボルビング払いや分割払いの取り扱いを始めた。規制緩和を受けた措置で、個人からの金利収入を増やして収益強化につなげる狙い。

(追記2004.8.26)
 大手銀行としてはじめて、りそな銀行がビザ・インターナショナルから「プリンシパルメンバー権」を取得した。
 これで、銀行本体で、VISAカードを発行できることになる。
 今まで、VISAのプリンシパルメンバーは、消費者金融会社には権利を与えて来なかったので、消費者金融会社はマスターカードのプリンシパルメンバーとして発行してきたが、銀行本体がVISA発行をすることで、大手銀行グループのキャッシュカードとクレジットカード一体型カードの発行が本格的になる動きとも言える。

2.クレジットカード会社、信販会社の役割は変わる

 カード発行は銀行が主体になってくるとすると、クレジットカード会社や信販会社はどうなるだろうか。

 勿論、銀行との提携で、発行業務(審査や発行)や回収業務、信用保証といった、銀行の一体型カードの支援といった事業は、今でも始まっているところだが、それだけでは単なるアウトソーシング会社となってしまうだろう。

 米国でもそうだが、加盟店営業、加盟店管理、加盟店利用時点での与信業務、売上計上、加盟店への支払いといった、カード発行会社と加盟店間のもろもろの業務を行なうプロセッシングが、大きな方向性になる。

 このプロセッシング業務では、NTTデータ等それをつなぐネットワーク会社との提携なども含めて、各社がどのような強みを、どのプロセッシング分野で発揮するかの勝負となるだろう。
 
 以前から、JCBのように、加盟店管理が本体に一本化されているような場合は、それだけ有利な展開が想定されるが、VISA、MASTERCARDグループのように、プリンシパルメンバー会社が、各々加盟店営業・管理を行なっていて、同じ加盟店に対して競合しているようなことは、これも再編成の対象となろう。

 信販会社のカードについては、以前から同じ銀行グループの直系クレジットカード会社との競合という状況下にあったため、少なくとも、カード発行は銀行、加盟店業務は現在の銀行系クレジットカード会社(これも、銀行再編に伴って、再編が考えられるが)に集約されることが想定される。

 信販会社の個品割賦や、自動車ローンといった、カード以外の事業について、そのノウハウを銀行との提携事業として提供することも考えられる。

3.融資は銀行とのすみわけになる

個人へのローン、法人に対するローン事業については、新生銀行の例が、参考になる。
新生銀行は、株式会社ニッシンとの合弁会社「新生ビジネスファイナンス(株)」を設立し、中小事業者向融資事業を行なっている。



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