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●SETは実用化されるか?(1997.10.12)
(1)Visa,Masterが提唱したSETの標準が明らかになって久しいが、特定のモールサーバーでテスト的に実施される予定が発表されているが、遅れているのかなかなかお目にかかれない。
(2)元々SETは世界的に加盟店を握っている場合が多いVisa,Master本部が、その強い加盟店の関係をそのまま維持して、多数の発行会社の会員をインターネットで加盟店にSETのNo.を提示させ、発行会社へ繋げてオーソリゼーションをし、結果を逆ルートで加盟店に戻す仕組となっている。
このため、同じVisaグループでも会員が加盟店にショッピング申込をしてから、加盟店経由で発行会社迄たどりつくオーソリ経路の中で、セキュリティーを確保する必要から、何段階かの暗号が使われており、その復号もどこでどの暗号だけ復号するかといった形態になっている。(詳しくは日経デジタルマネー・システム
1997・10・1号等)
(3)実験で実用化につながるか?
特定のモールで始める形だが、元々のSETの考え方は、,加盟店で取り扱うクレジット会社の会員は、不特定のサーバーで誰でも登録したSETのNo.を提示するだけで決済できるといった、現実のクレジットカードの仕組そのままが持ち味となる。
この中で限定した発行会社(イシュアー)、加盟店管理会社(アクワイアラ)の実験すら遅れていることは、この先何年かかって実用化になるか
。
クレジット方式がネットワーク決済の中心であることはどうやら間違いなく、インターネットビジネスが急速に発展してゆくことをサポートするはずの決済が足を引っ張らないことを願う。
●SET実験を使ってみた結果、事業化はこのままでは無理と結論(1998.9.6)
(1)申し込んだSET2団体
- 社団法人 テレコムサービス協会 マルチメディア実験協議会(略:テレサ協)
- 株式会社 住友クレジットサービス(略:住クレ)
(2)使ってみた経過
○テレサ協
- WEBから申し込むと、テレサ協宛てと郵便局宛ての申し込み書が送られて来た。
- 郵政省がバックの実験とはいえ、申し込みをテレサ協(郵送)と郵便局(持参)の2個所にする。
- 申し込みをしても、何の連絡もなく1ヶ月位経過したら、電子メールでまだ申し込み書がきていないとの連絡が入った。
- そこで、申し込み書をテレサ協に再度送付したところ、既に受け付けているので2通目が返送されて来た。
- その後待てどくらせどフロッピーが送られてこないので、電子メールで、申し込みを取り消しを申し入れたら、一部改良中で遅くなっているので、プレゼント期間に間に合うという返事。(フロッピーを受け取って、認証手続き修了者にモバイルパソコンが抽選で当たる)
- フロッピーと説明書が送られて来たが、難しくて失敗。休みにようやく成功しすぐに、試しに新潟コシヒカリを注文してみた。
- 認証までの手続きの大変さと比較すれば簡単に注文できたが、1週間経っても品物も届かないし、何の連絡もない。(結局なし)
- 技術的にSETは、注文受付までしかできていないで、その後の出荷、売り上げ処理や、注文した人への連絡、売り上げ報告、口座引き落とし等の電子メール処理はまだどうなっているか分からない。
X住クレ
- テレサ協と同じくWEB上で申し込んだ後、プッシュダイヤルで住友クレジットの番号を伝える。(以前、住クレの会員でなく拒否されたので、申し込みから2ヶ月経って渋谷ICカード実験用に申し込んだカードが届いたのでようやくここまで出来た)
- WALLETインストール用のCD−ROMは半月程で届き、インストールしようとしたが、パスワードエラー。
- 良く読むと、電子証明書取得用パスワード通知書が来るとのこと、クレジットカードの暗証番号ではない。
- こちらは、紙のマニュアルはなく、WEBとCD−ROM中の説明書をあちこち見たり、何とかキーをコピーとか、難しいのと、書いてあることが、2個所で異なっていたりと、パソコン初級の上程度の私には無理と思ったがしつこく何回も難解にトライした。
- どうしてもうまくゆかず、再度あちこち説明を読んだというか、だめな理由を探しまくった結果、他のSETのWALLETを使用している場合はそれをアンインストールしなければならないと書いてあるではないか。
- 骨を折って注文したテレサ協の品物が届いて、結果が分かるまでは、と思っているが、パスワードの有効期限が私の場合9月13日までなので、再度パスワードが貰えるかのテストとなろう。
- 結局ここで、中断したままでいたところ、SETでなく、VP@SS方式になって、SETWALLETは、使わない仕組みに変更された。
(3)感想というか提言というかなんと申しますか
...?...実用化され、決済事業として受け入れられるまでには、程遠く、時間もかかる上費用がかかる。
...理由...
- SET本来の姿は、クレジット会社だけでなく、統一(世界的に)された仕様で、消費者は1つのSETのWALLETに自分の使っているクレジットカードや銀行カードの番号を登録、認証すれば同じ手順で使える点にある。
- 現状私は2つの実験のみの感想だが、認証までの手順だけでも使用するパスワードID番号の桁数だけでなく、手順も異なりこれを統一しないと、元々統一概念で作られているものだけに、SETWALLETはパソコン上1つしか認めない(そのWALLETに複数のカード認証が入る)事から、他のSETを使用していると使えないといったことになる。
- 実験だから、異なった仕組みのSETがといった考え方では、実用化時点でまたテスト、実証実験が必要になる。
- これだけインストールや認証、登録が煩雑では一般の利用者にはとても受け入れられない。
- 実験中は私みたいなもの好きがトライするが、トライする事が目的であって利用するために申し込んでいるわけではない。
- 今の方式で実用化は事業として、受け入れられないと考えると、もっと簡素で安全性の高い方式を再度構築した方が、実用化という観点で考えたら回り道のようだが早いし、可能性が少しは出てくると思います。
- サイバーキャッシュも、SET程複雑ではなかったが、パソコン上にインストールするWALLETは、普及上無理があるとして、サーバー(ゲートウェイ)に一括してWALLET登録することによって、インストールを無くすように変更をしてゆく中、SETが当初の考え方のままバージョンアップをしていっても、普及する可能性は極度に低いと言わざるを得ない。
●SETの実用化への試み(1998.9.20)
上で記したような、SETの普及をさまたげている要因の1つである、WALLETを、クレジット発行会社のサーバーで管理する動きがはじまった。
ただし、これからSETの認定を受けるなど、道のりは遠い。また、結果としてSETよりは、SSLになってしまうことから、SETの存在意義についても一石を投じた形になってくることでもあり、簡単にSET認定は得られないのではと思うが、SET実用化のためには、こういったユーザーサイドに立った動きを過去にこだわらず、どうつなげてゆくかがポイントと考える。
●SET採用の日米比較と今後の危惧(1999.6.3)
(1)米国でのSET採用の動向
- もちろん提唱社である、Visa,Master両社はSET採用をグループに属する各クレジット会社、銀行(米国の場合は、最大のクレジット会社は、citibankをはじめとする銀行)に働きかけている。その中で、不思議なことに、Visa,MasterではないAMEXがSET採用を表明しているが、他は採用表明すらない。
- AMEXにしても、他銀行、他クレジット会社が採用方向にないため、具体的にシステム構築や、実験的な採用といった動きもなく、様子見の模様。これは、SETの実現困難さから、AMEX1社がSETを採用した場合、他のより使いやすい方式の出現で、会員、加盟店からソッポをむかれて孤立し、AMEX離れになってしまう危惧をもっているからと思われる。
- 銀行は、インターネットを戦略的に、コスト削減、顧客固定化の強力な武器と考えており、クレジット決済はその1部にすぎないことから、(ホームバンキングの発展性参照)顧客、加盟店にとって安全性のみならず、使いやすい、導入しやすい決済方式を継続的に検討している。
- この、検討の1つとしてSETも粗上にあげたにすぎない。米国銀行の有力筋に聞くと、SETは現実のクレジットカードの仕組をインターネット化したため、銀行としては、顧客、加盟店等のみならず、採用に際しての、システム費用等で導入できる銀行が限られる上、銀行の戦略としての発展性を見ると採用しないという見解が主流になっている。
- 技術面で米国標準を検討するFSTC等のコンソーシアムでこの辺の議論が続いているが、ベースは米国の銀行の国際競争力に置かれている。(米国の現状参照)
- 最近、米国でのSET実用化がない点を、公にしないで、世界標準という表現をしていることがあるが、ECOMの米国視察団報告書(H11。3月)で、マスターカードインターナショナルでの質疑応答(同報告書P.45)で、米国での実施例はないとのマスター回答がある。
(2)日本の採用状況
- 米国に比べ、日本は官民あげてSETを採用して何とか実用化までしようと躍起になっている。
- 住友クレジット(VP@SSに変更)、JCB(2000.9.29でSETから撤退),UC,DC,オリコ(オリコモールはSETでない方式採用)、日本信販(SET以外の登録も導入)といった大手が、自社で接続できるモールを用意して、加盟店の中の大手にぜひ参加下さいという形で展開をはかっている。
- 米国ではない動きのため、インターネット先進国の米国から、関係者が来日して、SETの実際の利用状況等見学に来ている。
- 日本でお金をかけた実験をやっているので、自分たちでやらないで、結果を見ているのか分からないが、米国でのSET採用が全くない状況につながっている。
- 日本では更にSETを広めようという動きで「日本インターネット決済推進協議会(JIPPA)」、「日本決済ネットワーク」といった多数社(含む郵貯)での仕様検討がSETベースで進んでいる。
- 東京三菱銀行のように、SETでない、より使いやすい独自決済方式を導入する可能性のある銀行は全く少数派といっていい。
- JIPPAでは、サーバーウォレットで一括して登録する方式も用意する。(2000.9追記)
- 日本決済ネットワークでは、個社別に異なるが、SET以外の方式(各社のインターネットバンキングやVP@SSといった使い易い方式)となる見込み。(2000.9追記)
- 更に、日本のマスコミはインターネット上の決済については、先進国の米国の動きは分からず、SETが米国で実用化されており、日本も漸くそれに対応しはじめた、なんて記事をまことしやかに流し、それを読んだ、金融関係トップがいかにも国際標準がSETだと認識する状況をつくりだしている。
- 米国のSET演習場と化した日本の先導役は、実は、マスコミが大きな役割を果たしている。(石原知事に登場要請しますか)
- 日本の金融界は今まで、国際的に鎖国ないし孤立した状況にあったが、インターネットという、金融ビックバンを進める強力なツールについても、その延長線につながる恐れが大きい。
- 日本の金融機関が米国との競争に負け、米国金融機関傘下に入ることは、消費者にとって安全、便利であれば良いことではありますが、インターネットでも、同じ道を歩み始めているのではと気になります。
現状トップ/各方式/SET実用化/マイクロソフトウォレット/電子決済は安心?/ベンチャーと電子決済/SET・SSL安全性/クレジットカード決済/ ショップにカード番号 / ファイアウォール/モール/ICカード/ICカードの安全性/ICとインターネット/成功要因/デビットカードの意味/デビットとクレジット/ICカードとデビット/インターネットのデビット/証券ホームトレード/ホームバンキング/損保変化 / 生保変化 /米国の動き/ ビジネスモデル特許 /